だんだんと暑くなってきた今日この頃。屋外のみならず、屋内でも少し暑さを感じるようになってきました。毎年、熱中症で搬送される方も多く、時期としては6月~8月の期間に多くなる。
しかし、熱中症は事前にしっかり対策をしておけば、予防することができるのです。
一番大切なことは、「水分補給」です。これにより、高くなった体温を下げることができます。
でも、「水分補給はどれくらいしたらいいの?」「他にはどんな対策をしたらいいの?」と疑問に思っている方も多いことでしょう。それに今年は、新型コロナ対策としてマスク着用が義務付けられています。感染対策のためにマスクを着用することでも、熱中症のリスクが高くなります。
こういった疑問を解決すべく、今回は熱中症を予防するための具体的な対策と水分補給の目安ついて解説していきます。
1.熱中症をどうやって予防すればいいのか?
2.水分補給の目安
3.マスク着用時の注意点と対策
熱中症を予防するためには、なぜ熱中症になるか?という知識も必要です。
私が書いた「熱中症のメカニズム」の記事もあわせてお読みください。熱中症の症状やメカニズム、現場での対応や、さらにどういった人がなりやすいのか?などを簡単に解説しています。
これを機に、是非熱中症に対する意識を深めていきましょう。
熱中症予防のための具体的な対策方法
熱中症は、事前に対策をしておけば、ある程度は予防することができるのです。
この事前準備を怠ることが、熱中症のリスクを高めてしまいます。
では、いったいどういった対策をして予防すればいいのか?
具体的な対策方法は以下のとおり。
- 常に飲み物を持ち歩く
- こまめに休憩をする
- 日陰を歩くようにする
- 帽子や日傘を使う
- 冷却グッズを使う
- 衣服は風通しのよい生地にする
- こまめに水分補給をする
熱中症を予防する上で大切なことは、体が高温にならないこと。つまり、体温を下げること。
この目的を果たすために、水分の補給を行ったり、熱を逃がせるよう涼しい衣服を選んだり、直射日光を避けるために帽子や日傘を使うのです。
水分の補給の目安については、以下に後述いたします。
体温をうまく調節できるレベルにコントロールできれば、熱中症もある程度は予防できるでしょう。最近では、外出時や運動時にも便利なグッズがたくさん出てきてます。そういった商品もうまく活用できれば、ある程度は熱中症も予防できることでしょう。
【室内でも要注意】
室内で直射日光がないからといって、油断してはいけません。実際に夏場では室内でも30°を超えてしまう場合も多く、室内で熱中症になって救急搬送される症例も多い。室内も温度を下げ、しっかり涼しくした環境で過ごしましょう。
水分補給を意識しよう
一般的に、人の1日の水分出納は約2.5Lといわれています。
特に夏場に関しては汗をよくかくため、意識して水分補給を行わないといけない。
汗には、水分だけでなく塩分(ナトリウム)も含まれています。汗をかくと、塩辛く感じたことはありませんか?
この塩分(ナトリウム)が不足している状態で水分だけ摂取すると、水分と塩分のバランスが崩れ体内のナトリウム濃度が下がってしまう。
こうなると体の反応としては、塩分(ナトリウム)濃度をこれ以上下げないように飲む気持ちを無くしたり、水分を排出してバランスを保とうとする。
そのため、水分補給をしてるつもりが逆に脱水になったり体が動かなくなったりして、熱中症の原因になってしまうのです。
水分と同時に糖と塩分も摂取しよう
熱中症予防の水分補給は、汗により失った水分と塩分(ナトリウム)を摂取するのと同時に、糖分も摂取するのがいい。
体内の塩分(ナトリウム)濃度が下がると、手足のけいれんを起こしたりして、体が動かなくなってきます。不足すると速やかに摂取しないといけないが、水分と塩分を摂取してるだけだと、体内に吸収されるのに少し時間がかかる。そこで、さらに吸収速度を速くできるのが糖分になります。
腸管内では、糖分と塩分(ナトリウム)が同時にあると、腸管内の水分吸収を促進してくれるのです。つまり、糖分と塩分(ナトリウム)をセットで摂取することが、効率の良い水分補給となる。
だから、アクエリアスやポカリスエットなどのドリンクは少し甘さを感じるのです。
水分補給のポイント
水分補給のポイントとして、以下のことが推奨されています。
- 汗で失った量と同等の水分補給をする
- 体重の2%以上の水分を失わないように注意する
- 水分はこまめに摂取する
- スポーツの前後と途中に水分補給を行う
- 電解質も補給する
水分補給のタイミング
日常生活と運動時の水分補給のタイミングは以下のとおり。
1.ノドが渇いたと感じる前に
2.起床時
3.入浴後
4.飲酒時
一般的に、ノドが渇いたと感じた時には脱水が始まってるといわれています。
ノドが渇いていなくても、ひと口やコップ1杯でもいいので、こまめに水分補給をしておきましょう。
1.運動前・中の15~30分に1回
→日本スポーツ協会推奨
2.大量に汗かいたり長時間の運動時には、同時に電解質も摂取
電解質に関しては、0.2%の塩分と4~8%の糖分を含んだ飲料が推奨されてます。
しかし、少しややこしいので市販のスポーツドリンクで十分だと思います。
もし自力で作る場合は、1ℓの水にティースプーンの半分(約2g)と角砂糖を好みに合わせて入れて作るとよい。
夏場は、毎日注意する必要があるため、ドリンクを切らさないようにまとめて購入しておくことをおすすめします。最近では、薬局やスーパーなどでも簡易に水分補給+ナトリウム補給ができる「傾向補給液」が購入できるようになってます。
基本的には、これ1本で全て摂取できる飲料となっています。しかし、あくまで緊急用なので普段のみはお控えください。
そして上記のドリンクは、熱中症の疑いがある場合に摂取するため、大事なのは熱中症にならないよう事前に予防しておくことです。そういう時に便利なのがタブレットタイプの商品です。
毎日ポケットにしのばせておくと安心なタブレットタイプ。外出前・運動前・仕事前などにひと粒摂取しておくと少し安心できますよ。
暑熱順化をしていこう
夏の時期は暑いのには変わりないが、6月の初期の頃より8月の方が少し体が慣れてきたりしませんか?この暑さに体が対応していくことを暑熱馴化(しょねつじゅんか)といいます。
普段、室内の涼しいとこで過ごすことが多かったり、外で運動をする習慣がない人は、暑熱馴化をしにくい状況にあります。この暑さに慣れていない状態のまま長時間暑い場所にいると、熱中症のリスクが高くなります。
暑さに体を慣らすことができれば、体内の熱をしっかり外に出すことができます。これにより、体温が高温になるのを防ぐことができ、熱中症のリスクを下げることができるのです。
暑熱馴化にかかる期間
では、暑熱馴化をするためには、いったいどれくらいの期間が必要なのか?個人差はあるが、平均して約2週間(14日)程度といわれています。
数日後から体が熱を逃がす準備を始め、1~2週間の間に体温をうまく調整できるようになります。詳しい表は「くすりと健康の情報局」をご参照ください。
暑熱馴化をすることができ、汗をしっかりかいて体温コントロールができるようになると、暑くても運動能力が上がるのです。しかし、暑熱馴化ができず、暑さに体力を奪われると、体が思うように動かず運動能力が下がります。
なので、運動時も外出時でも暑さに負けず体を動かせるようにするためには、暑熱馴化をしていくことが大事になります。
暑熱馴化の方法
暑さに体を慣らすには、外に出て運動することがおすすめです。室内で冷房のついてる環境にいては、いつまで経っても暑熱馴化できません。少しでも外に出て軽い運動だけでもすることが効果的です。
そこで、一番手軽で簡単に行えるのがウォーキングになります。10~15分程度でも構いませんので、汗をかいて体温コントロールができる能力を身につけましょう。
それ以外の方法でも、入浴や半身浴などがあげられます。同じく、暑さに慣れるという意味では、自宅でも暑熱馴化をすることができます。ぬるま湯だと効果が薄いため、いつもより少しだけ温度を上げて入浴をしてみましょう。外で運動をするのが苦手な人は、この入浴で暑熱馴化をして熱中症を予防していきましょう。
職場での熱中症対策
仕事中だと、ついつい水分補給を忘れてしまったり、なかなか思うようなタイミングで休憩ができなかったりあると思います。特に忙しかったり、外の現場作業での時は、熱中症のリスクも高くなります。
そのため、あらかじめ工夫と準備をして仕事を始め、体調に違和感を感じたらすぐに報告するようにしておきましょう。
そして、室温の調整・涼しい服装・休憩のタイミング・職員の健康状態の把握をしておくことが、熱中症対策として大切です。とはいえ、やむを得ないときもあると思いますので、そんな時にポケットに塩分タブレットなどを2~3個入れておくのもポイントです。そういう便利なものも上手く活用して、熱中症を予防していきましょう。
マスク着用による熱中症
コロナ対策により、普段からマスク着用をする習慣になっているが、それが熱中症のリスクになることも頭に入れておきましょう。詳しい因果関係はハッキリしていませんが、マスクによる熱中症対策もしっかりしておきましょう。
マスク着用のリスク
ひとつは、呼吸をしにくいから。人は、汗などで体温を下げたりしているが、呼吸をすることによっても体温を調節しています。
そのため、マスクを着用していると呼吸がしづらく、熱がこもりやすくなります。これにより、体温がどんどん上がってしまうのです。
もうひとつは、マスクにより口内の湿度が保たれ、ノドの渇きに気付くのが遅れるから。ノドが渇いてないと水分補給をしなくてもいい感覚になってしまいますが、夏場はたくさん汗をかいています。そのため、マスクによりノドはそこまで乾燥していないかもですが、体内全体的にみると脱水になりつつあります。
なので、マスク着用時はノドの渇きではなく、汗をかいたらこまめに水分補給をすることを心掛けましょう。
コロナ対策とマスク着用
熱がこもりやすい!呼吸がしにくい!といっても、コロナの感染リスクもあるため、マスクをずっと外してるわけにもいきません。
そのため、他人との距離をあけれるとこ、もしくは人のいないところでは少しマスクを外して呼吸を整えましょう。このちょっとした対策で、少しは気も楽になるし、熱中症の予防もすることができるかもしれません。
厚労省がこんなリーフレットも出しています。
「熱中症予防のために」
また、最近ではいろいろなマスクも開発されています。長時間の運動や外出時は、通気性のいいマスクを身につけるのも一つの方法です。
さいごに
いかがでしたか?すべての対策をしないといけないわけではなく、自分の生活や環境に合わせた対策方法を選んでいただけたらいいかと思います。
これを機に、さらに熱中症の知識を身につけるため、私が書いた「熱中症のメカニズム」もあわせて読んでみて下さい。この記事には、症状や現場での対応など様々なことが学べて、一般の方向けに簡単に解説しています。熱中症は、知識と事前の準備と対策である程度予防することができます。
自分の体を守るため、さらには身近な人の体を守るために、しっかり備えておきましょう。
以上。
じゃあ、どうすればいいんだ?